2012/01/31

振り返る

踏み切りを越えて

たんぼと川の間の道を行くと 君の家があって

学校帰り いつも二人はここで別れた

駅からまっすぐ自分の家に帰るまで 2倍の距離になるけれど

何倍も幸せな帰り道


ある日学校で

『いつも私は見送ってるのに 何で一回も振り返らないの?』

と寂しそうに言われたことがある

そうだ ぼくはどうして 振り返って

君を見なかったんだろう

君を見ようとしなかったんだろう


その日 振り返ると君と目があって 笑いながら手を振り合った

あの頃は本当に 本当に幸せだった


具体的にその頃が何年前かもすぐに浮かばなくなった今でも

僕は歩いているとき ふと振り返るときがあるんだけれど

君は後ろにはいないし

もちろん横にもいない


気遣いの欠落をおしえてくれた 今の君の誰かは

ちゃんと振り返ってくれているだろうか?


カンカンカンと音が鳴り

踏切が黄色と黒の棒で塞がれた


電車は通り過ぎ

開いた踏切を僕は通り過ぎた

























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