2012/01/31

振り返る

踏み切りを越えて

たんぼと川の間の道を行くと 君の家があって

学校帰り いつも二人はここで別れた

駅からまっすぐ自分の家に帰るまで 2倍の距離になるけれど

何倍も幸せな帰り道


ある日学校で

『いつも私は見送ってるのに 何で一回も振り返らないの?』

と寂しそうに言われたことがある

そうだ ぼくはどうして 振り返って

君を見なかったんだろう

君を見ようとしなかったんだろう


その日 振り返ると君と目があって 笑いながら手を振り合った

あの頃は本当に 本当に幸せだった


具体的にその頃が何年前かもすぐに浮かばなくなった今でも

僕は歩いているとき ふと振り返るときがあるんだけれど

君は後ろにはいないし

もちろん横にもいない


気遣いの欠落をおしえてくれた 今の君の誰かは

ちゃんと振り返ってくれているだろうか?


カンカンカンと音が鳴り

踏切が黄色と黒の棒で塞がれた


電車は通り過ぎ

開いた踏切を僕は通り過ぎた

























散歩

朝から続く寒さも

太陽が真上に来て 少し和らいで来る頃

30分100円の

コインパーキングに車を止め

コートを着て 外に出る

手袋は無ければかじかみ 有れば暖かすぎるような気温

僕は 白くならない息をしながら あてもなく歩いた


時系列がばらばらの思い出が 断続的に頭をよぎって

記憶の中を散歩している気分

少し風がでてきて ポケットに手を入れ進む

通り過ぎる風景 人 車

信号を赤で何度も進みそうになりながらも

僕はあなたと出会った頃の自分に出会った


別れた後に見る 出会った頃のあなたと僕の馴れ初めは

本当に悲しくも 滑稽で

笑顔や真剣な眼差しも全て 胸を痛めるだけしかない



やっと記憶から抜け出した頃

何時の間にか 元の場所の近くへ戻っていた


僕は

駐車場に戻り

300円を入れ 開いたゲートを抜け

現実に帰り 家路に着いた





















2012/01/29

さざなみ

優しさを求めると突き放され

諦めて去ろうとすると寄ってくる

その時に決まって言われる

冷たいって言葉

あなたが僕を

傷つけた痛みほどじゃないって

言い返したくなる


その小さな仕返しすら

胸が痛んだっていうのに






僕はこうして

あなたが作った池から

抜け出せずに泳がされている

2012/01/28

かがみがおもうこと

わたしがあなたをすきなのは

あなたがやさしかったから

わたしはかがみ

あいてのこころをうつすだけ

けっして じぶんからはうごかない


それでいいとは おもってはいないけれど

かがみはかがみ

あなたをただ うつすだけ


あなたをそっと おもうだけ

2012/01/26

黒い車に白い雪

黒い車に白い雪

そっと手で雪を払いのける

現れる黒い車体

まるで 心の闇のよう

雪で外側を白く包んでも

奥底にある闇は いつまでもそこにある


きれいにしても すぐに汚れる

雨はいつか降るし

走れば 汚れてしまうのだから


それでも時には洗い流し

リスタートをする

なんだか

人生の中の息抜きのようだと思いながらも


























信じられますか?

ひどい仕打ちの仕返しに 事務的な応対を君にする

電話のかわり際 『なんか淡々と話すね』と暗い声

それから3時間後の電話に出た君に

話半分で当たり障りの無い会話をしていると

『冷たい』 と一言

とぼけて 誰が?というと 少し無言の後に僕が という

『電話に出てもすぐに代わってしかいわないんだもん』

ばれないようにしたつもりが 完全に伝わっていたことに驚きつつも

なんかごめんねってはぐらかし 別の人に代わってもらう

『私あての電話じゃなかったんだ』とまたかわり際に暗い声

ちょっと以上の罪悪感 仕返しなのに悪いなって思う気の弱い僕


携帯に電話をする

今度は普通に話してみると 少し機嫌が直ったみたい

仕返しだったんだ これからはそのときに言うからというと

『その時だったら 忙しいって切ってしまうかも』と君


仕返しの火がまた点いた


じゃあ 僕はいつも我慢しないといけないんだね もう限界 無理だねそれじゃ

もし逆切れされたなら 朝みたいに淡々と必要なことだけしか話さない と早口で応酬

あわてて君は

『私が変わるから 私が変わるから』


絶対に無理だ 変われるわけないよってわらった僕 

やっとお互い 普通に話せた

誰よりも落ち着く君との会話 どうしてだろう?



繊細で傷つき易い君 だけど僕も同じくらいなんだよって

これは さすがにいえなかったけど

脅すみたいでごめん だけど言っておきたかったんだ

『大事なことだからいいよ』の返事に僕は 激しい違和感を覚える

実際は

あなたと僕は 友達でも彼女でもない

あなたとわたしの関係は

一体他人にどう写るのだろう?って

























雑記:人をスマートに嫌いになる方法

何かを言われ 何かをされたときに 人を嫌いになることが誰しもあるはずです

そんな時、怒鳴ったり、拗ねたり、他の人に悪口を言って同意を求めたりはちとかっこ悪い

そこで スマートに人を嫌いになるって どんなことだろうと考えたわけです

①今までの関係をそのままにしつつ、心だけはその人を嫌いになっている

②わざと相手を嫌わせ お互い関わらなくなるように仕向ける

③会うこと、話すことを極力避け 疎遠になるよう祈る

うーん結構むずかしい 三つ(しかもなんかむりやり)しか浮かばなかった


本当に嫌いになると 毛嫌して全身で表現するか 冷めてどうでもよくなってしまうかの両極かな

後者だと一番楽で①も②も③もしなくていいな

前者だと 結局三つともできないだろうな


スマートって やっぱりむずかしい

やっぱがつーんと喧嘩して仲直りが一番!(なんじゃそれ)












2012/01/22

傷つけた人が傷つけられる時

愛する人に 傷つけられたとき

どうしようもない苦しみと一緒に

過去に傷つけた人のことを思い出した


あの時は 本当に無慈悲なことをした

傷は今 癒えているだろうか

もう 何もしてあげられないし

もう 必要とされてもいないだろうけれど







2012/01/21

帰ってこない声

帰ってこない声

何故去ってしまうの

ただ もっと気楽に受け取ってほしかった

ぼくはそんなに多くを

求めていたわけじゃなかったのに

冗談が深すぎたり

考えている以上に 懐に入りすぎたのかな

いつも僕は 被害者の面をした加害者だ

街灯のひかりすら 冷たく感じるこの季節

体温が奪われるように 心も熱さを失っていくけれど

まだ 帰ってこない声をもう少しだけ

待って見ようと立っている

詩という範疇を越えた? 恋論

恋っていうのはね

もう叶う叶わないじゃないんだよ

話していて あ あの人は自分のこと好きなのかな?とか思い出して

意識して話すと いろいろなとこを無駄に気にして

あーでもないこーでもないって一人考えながら眠れなかったり

結局向こうじゃなくて 自分が相手を好きなだけなんだけどね


んで どうしよう とか もう精神病手前まで苦しんだり 浮かれたりして

友達づてで 彼氏がいるとか聞いて ゲームオーバー

すっごく落ち込んだりね ありがちなんだけど 

その 負けが決まるまではもう現実と希望とがミックスされた世界を生きているわけ


で 痛い思いをしてもまた 同じような繰り返しをする とね

もちろん 過去の学習で 浮かれないようにとか どうせ誰か好きな人がいるんだよ とか

突進する自分を引きとめようとする自分 まあ ウイルスの耐性みたいなものがあるんだけど

なかなか割り切れないで 結果はおんなじ ゲームオーバーでね ははは

終わってしまえば 馬鹿ですまされるんだろう

でも 恋つうのは それでいいんじゃないかな

いつか叶う日が来るかもってのは 無いわけじゃないんだから

それまでなんでもこーい なんてね つまんねえ ははは


てわけだ じゃあな

























2012/01/20

雑記:街を歩くということ

街を歩く

人の中を

景色の中を

道を決めず歩くから

そこがどこか分からなくなっても

迷ったわけじゃない

目に入るものを感じるまま取り入れて

気が付いたら何も考えなくなっていたり

暇つぶしでもあり

大切な行為でもある

何ものにも縛られない時間

多くの人が出入りする駅の入り口

誰を待つわけでもなく立ってみると

自分の時間だけ止まって

それ以外の世界だけが動いている感覚がする

寂しい けれど どこか満ち足りた気分

皆社会で出払ってしまった住宅街
撮影のためだけにこしらえられた街を行くような

たまに人と出会うと現実に引き戻されたりして

運動にもなり 頭の中もすっきりとするときもある それが街歩き










2012/01/19

今日は母の命日

雑草だらけの公園

遊具も錆だらけだけど

小さな頃遊んだ記憶は残っていて

誰もいないのに 笑い声が僕には聞こえる

何年も前からの声が 今の僕に届いた


僕が過ごしてきた時間は

いつも思い出せないだけで しっかりと残っているんだなって

例えば

ひいばあちゃんに貰ったお金で 駄菓子屋でチョコレート買ったことや

そのひいばあちゃんがしんで 泣かなかったことをこの公園で怒られたこと


泣くだけが悲しむことじゃないのにって 思ってた

だから僕は意地でも 泣かなかったんだ


死んだお母さんが 夢でばあちゃんと踏み切りで歩く夢を見ていたって

聞いたことも思い出しで 少しぞくっとしたりもした



その公園のブランコに座って

そんな色々なことを思い出していると

夕暮れはもう終わり 夜の始まりを薄闇が知らせに来た


僕はもう いかなくちゃ

でも

あなたたちはここにも 僕の中にもいて

これから何年経っても あなたたちの優しさは

僕に届くことでしょう


さようなら  また今度

2012/01/17

ゆめのなかで

おおきなこえでないたなら

おふろにはいってあったまって

ぱじゃまにきがえておやすみなさい

ゆめのなかでは

じゆうにとんで

いっぱいわらって

あそんでおいで

悲しいときは

左手を少し開いて胸の下に

右手はそっと添えるだけ

そして

悲しかったことを思い出しながら

ぎゅっと両手を閉じたなら

少しだけ 心が軽くなるでしょう


こうしてなんとか生きています

それでも残った悲しみは

チョコとワインで流しましょう

悲劇的な内向的

理想の『本当の自分』を心に飾って

現実の自分を『仮初の自分』にしてしまえば

思ったような人生を歩めなくても 傷付かずにいられる


そう思って始めた


どこにもいない『本当の自分』


生きていくための小細工で

生きていく意味をなくしてしまった悲劇

抜け出せない 落下していく人生

苦いミニたい焼きの日々

わたしはべたべたしたいわけじゃないって
突然突っぱねられた帰り道

それからの君は どんどん僕から離れていって
学校に向かう電車に乗り合わせても
無言のままの日もあった

もしかして をはるかに越えた別れの予感

そして訪れたその日

最後の電話で泣きながら

私と会っているときのあなたは
いつも顔がひきつって
笑えないあなたにしてごめんねって

いつもそう
僕は分かったって言うだけで

歩いた時間と同じくらい
笑いあったあの頃も

餡とおもった中身がチョコで
突然口移しで渡されたミニたい焼きも

早く忘れようと心に決めた
今でさえ 思い出すこともあるんだけれど
あのころの悲しさはなくなって
懐かしい過去とすら感じるようになれた

最近あった友達に
引き止められると思っていたと漏らしていたと聞いて
苦い 苦い思いをしたのは内緒

だって
もう終わらなかったはずのもう一つの未来は
僕にはもう 想像できなかったんだから

2012/01/15

明日注意すること

君は人の好意に 鈍感で

ほら

勝手に気が付いたら好かれていて びっくりしていただろ?


本当に好きな人には 臆病で

ほら

それまでは普通だったのに 意識しだしたら全然だっただろ?


後は

君は不用意に人に心を預けすぎるから 戸惑わせたり

どんどん自分をさらけ出すから 底が浅く見えたり


なんだろうね

よくここまで失敗を経験して

そのままでいられたもんだと感心するよ


でも よく頑張ってきたよ

君には最後には幸せになってほしい

だから もう少し人を見る目と 本当に心に通る優しさを身につけて欲しい

恩着せがましいところも やめたほうがいいね

まあ とりあえずこんなとこだ


今日は疲れただろうから

あったかくして早く寝なさい


また明日

















本当に悲しいこと

何でも分かり合える人に出会えるのは

とても幸せなことです

その人といつしか

分かり合えなくなってしまうのは

本当に悲しいことです

その原因が

どちらかでも 二人のせいであったとしても

僕の『当たり前』

車もまばらな山道に

ひっそり営業している金券ショップ

よくこんなところで開いたなって

ぼくは

世の中には色んな人がいると

考えさせられた

思った通りなんかいったためしもないけれど

僕のちっぽけな『当たり前』に

ついた傷


ボリボリと食べるそのちょこで

いつか口が血だらけにればいいって君に言ったら

怒って突然

ひっかかれたことがあったけど

なんかそんな感じ

分かんないよね

僕も分かんないもの

心の会議 紛糾

こころがまっぷたつになる

いいことばかりのこころと

わるいことばかりのこころに


前向きに生きれば生きようとするほど

空しさの風船がふくらんで

二大政党が

過半数を取り合うような心の運営

リーダーシップはとれません


なにもうごかないまま

ただつかれていく

ほんとうにかなしいせいかく















しあわせあわせ

幸せをただ願う

ショーケースに手をつけて眺めるような

そのままじゃ いつまでたっても買えません



ショーケースを開け 手にする日が来ても

それが本物かどうかもわからないんだけど






2012/01/14

おめでたきひと にあこがれて

ひっそりと人を思う

優しい言葉をかけられれば喜び

少し冷たいと大きく悲しむ

出来るだけ

本当に出来るだけ

勝手に自分だけ踊るような

勘違いをしないように心がけながら


期待した反応以上も以下もあるのは当たり前

答えを聞けない 自分のせいと

何度も何度も言い聞かせる


テレビを見るだけより

ちょっとだけ 影響を及ぼせる娯楽のよう

とはいえ

そう思えてしまえれば

こんな苦労はしないのだけれど























人が多くなると面倒も多くなる

二人で話している友達に

もう一人を足して見よう

いつのまにか

仲良く話す二人と

さみしそうに 相槌や笑いを入れる独りが出来上がります


人数が多くても 流れを作れる人より

人数が多いと 埋没してしまう人が気にかかる

ひっそり孤独に悩む人を

そっと流れに戻せる優しい人になりたい


とけたチョコに

バナナや マシュマロをつっこんで

皆でたべる チョコレートフォンデュ

みんなをつなぐ そんな人に

チョコとアーモンドの不思議な関係

仕事の会話が増えるたび

軽い冗談を交わすたび

それは生まれた

遠くも近い 不思議な関係

いつしか冗談の割合も増えて

仕事なのか 息抜きなのか分からない仲

突然の

『もうあらたまって話さないで下さいよ』で始まる

新たにはじまった もっと不思議な関係

呼び出して 出てくるときの『おはよう』や

機嫌が悪いときの『ごめん 今いそがしい』に

仕事中に彼女にかけているような感覚

どうすればいいのか どうなってほしいのか

お互いなぜか 彼女彼氏の話はしない

分からない 聞けないままの

今日五本目の呼び出し

よく出る受付の人は 半笑いで保留した

チョコとアーモンドの不思議な関係



悪くは無い...

でもすっきりでもないんだよな

2012/01/13

公衆電話で伝えたことは

柔らかい地面

靴が沈みこむ

高いのでこなけりゃ良かったと

心も沈みこむ


もう少しで

舗装された道路へ


泥だらけの靴が

アスファルトに跡を残す

ごめんねってなにかに謝って

たどり着いた公衆電話で

僕があなたに

打ち明けたこと


携帯電話だったなら

結果はかわっていたかな

電波がうまく

電話線より伝えてくれたならって

むかしの僕を

なぐさめる






つきかがみ

つきをみている

だれもいないたんぼのみちで

ひとりすわってみあげてる

ためいきもつつみこまれそうな

つきあかり

こころをうつす

つきかがみ

公園の一コマ

目を引く遊具もない公園で

老婆が孫を歩かせている

おぼつかない足取りを

精一杯のゆっくりな歩みで追いかける

どちらも笑顔を絶やさない

僕は一時 目が離せなかった


やがて老婆は一休み

孫はたまに後ろを見ながら一回り


何気ない 一コマ


僕に足りないもの のような気がした


バッグの中のキットカットを

あげればきっときゃっと喜ぶだろうけど

二人の世界を壊したくなくて

僕はゆっくり そこを出た

2012/01/12

何て残酷な僕と君の人生

記入済みの婚姻届

それを


僕の母と 彼女が役所に届け

僕は新入社員の研修初日

新しい 輝ける船出

のはずだった


突然の電話

彼女の父が 自殺したのだという

真っ暗になる目の前

帰ろうとする僕に彼女は言った

『私は大丈夫 あなたはそこで頑張って』

毎日かける電話

気丈な君はいつも『頑張ってね』

僕は 心をどこかにやったまま

生きるって なんだろうって

死んでしまうって なんだろうって考えながら

25日の研修を 終わらせた



どうして僕はあの時 なにがなんでも帰らなかったんだろう



今も僕は悔やむ時がある

やがて別れてしまった彼女が言った

『あなたは大事なときにいなかったくせに』って

言葉を思い出す時に


矛盾を僕は 正せなかった

終わった後に出る答えに

僕はなにができたろう


一年位たってから

机にしまっていた

その 記入済みの婚姻届を

本当にごめんねって何度も言いながら

僕は焼いた

2012/01/10

チョコレイトドロップス

ありさんの上におちた 水のつぶ

冷たい・・・ そしてしょっぱい!

ありさんはいたずらに もうかんかん

怒鳴ろうと上をみたらさあ大変

人間が泣いているではありませんか


どうしたんだ人間・・・となぐさめてやりたいのですが 

言葉は通じません


しかたなく 巣に持って帰るはずのチョコを人間に


これでもくって 泣きやみな


帰ろうとしたら また 水の粒

冷たい・・・ あれ?ちょっとあまい!

嬉しい涙は ちょっとあまい

優しさが生んだ チョコレイト・ドロップス

人間はにっこりと何かをしゃべってる

わかんなかったけど きっとありがとうっていってるみたいだ



びしょ濡れだけど あったかな帰り道

女王ありも 許してくれた














苦い顔 甘くて爽やかに負ける

素敵な出会い

チョコとコカ・コーラ

甘さと爽やかさ

これならいくらでも入りそう

お医者さんが苦いかおしても

とまらない

体重計は物置へ

ちょっとだけの罪悪感と

すごくたくさんの幸福感

独り映画

大きな映写機の前にいるような人生

スクリーンに流れる映像

流れる出来事に泣いたり笑ったりはするけれど

どこか他人事のよう

僕は一人で この人生を観続けて

やがて物語は終わり

エンドロールのと一緒に葬式の映像が流れる頃には

たったひとりの観客は消えていて

遺影として登場するのだろう


そして


誰かが映写機のスイッチを切る音


訪れる暗闇

思い出のアポロチョコレート

暇をもてあましているついでに

懐かしい場所めぐりをした

高校への通学路

あの娘と別れた通り

昔の家があったところ

その頃の記憶が 

おぼろげながらよみがえってきて

すこし景色もセピア色

僕も変わった

思い出の場所も変わった

変わんないのは 

心の中の アポロチョコレート達

ころころ動いては 

心の内側に当たって ちくりと 痛みを引き起こす

それぞれには それぞれの思い出の味

もったいないから 食べないけどね

おかあさんへ

気がついたら沸騰していたやかん

どれだけぼーっとしてたんだろう

火を止めてつくるインスタントコーヒーは

最後の一個だった


買いにいかないとって

それだけのために外に出る

辺りは真っ暗 入ったコンビニで見た親子

幸せそうに笑う子供

ちょっと疲れた笑顔を見せる母親

僕は欲しいものだけ買って店を出た


帰りがけ あなたの命日だと思い出して

コンビニへ逆戻り


お酒 好きだったよね お母さん


僕は大人になりました

ちょっと今

泣いているけれど

丸坊主タインデー

馬鹿なことばかり

わざと怒らせたりして

仲がいいような

喧嘩ばかりのような

となり同士の君

授業中も休み時間も

楽しく時間が過ぎていた


バレンタインデー

放課後別の女の子に呼び出され

連れられた先に 君


ごめん


僕が求めていたのは そうじゃなかったんだ


今思うと 本当に残酷なことをした

でもあの頃の僕は そんなことまで考えられなかったんだ


もったいなかったかな...


むずがゆい 懐かしさ

青春手前の 並木道 まだ桜も咲かない頃 のような

野球部 丸坊主 中学生

遠い 遠い 昔の思い出

2012/01/09

やまおく

山奥で山姥にあって首を切られて死んだ猫

外ればかりのあみだ 紙ごと破っても元の木阿弥だ

世界は不条理ばかり 星条旗にも頼れない世界

僕らは生きている 死んで行く 子孫を残しても 自分は生き永らえないっていうのに

三万円のこづかいが三億にって そんな見出しで売られる本 馬鹿ばっかり

ねえ 信号も守らない暴走族も 日曜は逆に仕事したりしないんでしょ

都合のいいとこだけ取り込んで 楽に逆らって かっこつけて

ハロウィンや正月や母の日父の日成人の日体育の日

何でも割 一人でも ふたりでも 家族でも

もう誰もひとつひとつ間違いかどうか考えられない 麻痺した世界

誰でも分かるようなことだけ批判して 世界の改革者気取り

人気の無いことは知らん振り 上手な屏風になんとやら

戦場で散る命 カメラマンも命がけで写真を撮る

死んだら勇敢なジャーナリスト 現場から見たら邪魔で無駄死に

家族の悲しみすら それを背負ってでも向かうとか かっこつけの背景にして

被災者のこと 政府には手厚くっていいながら あんたらはクリスマスで暖かい恋

何なんだ 自分を棚において 文句ばかり 自分らの利益は失いたくないくせに

汚い政治家すら おまえらよりまだ素直に見えてくる

僕はお前らより それでも劣って情けない存在に思えてくる

誰かを馬鹿にしたって 自分が上がっていくわけじゃないし

貧しい人を指差して笑っても 何かが豊かになるわけじゃないのに

朝 昼 夜 サマータイム ジャストアモーメント

君をうしなった痛みを 僕はこうして紛らわす

惨めで 本当に惨めで惨めな存在

じめじめした地面の上で 蕁麻疹をぼりぼり掻きながら

いつまでも文句ばかり言って 死んで行くしかないのかな

なんだったんだろう 今までの人生











































待ち合わせの白い息

始まったばかりの今日

薄く明けていく空の下 外に出た

コートを羽織っても遮れない寒さは

身体の芯まで凍えさせるけど

あなたのいない部屋で

どんなに暖房の温度を上げても温まらない心より まし


吐く息が白くぼやけていく

夜だけ見える星のことを 何故か思った

冷えた身体より冷たい車のシートに座り

走り出す

下げ忘れていた 大きな音量の音楽にびくっとしながら


待ち合わせた場所

一足早く待っていたあなたの白い息

十分温まった車内にエスコート

十分待ったあなたの口内にチョコレート

明るくなった空の下

また 走り出す

冷たい手を不意に 首すじにつけられてびくっとしながら


いつもの 騒がしいやり取りが始まる

目的地についても 帰り道でも

どんなに音量を上げた音楽も

二人を邪魔出来はしない

どんなに暖房をかけても

白い息が出そうなほどの

僕らの熱い 恋

2012/01/08

手を差し伸べるということ

差し伸べられる手


差し伸べる優しさも素敵だけど

私にとって

差し伸べられているあなたが一番素敵

握り返す力は

きれいな 純粋な お返し

優しさは 手から手へ繋がって

お互いの優しさとなる

冬だからこそ暖かいものもある

音も無く降り注ぐ太陽の光

四季を問わず

君を照らす

日陰でうずくまっていなければ



太陽の光も素敵だけど

出てきてそれを浴びるあなたも素敵

精一杯の料理

最近料理してないな

独りで作って食べるのって さみしい

あなたの喜ぶ食材で

帰ってくる時間に合わせて作る

下手だけど精一杯の料理

まずかったら言ってねって言いながら

心では おいしいって言えって願ってた


つい

スーパーで買いもしない野菜コーナーへ行ってしまう

やけ食いのチョコを買い込んで開梱して悔恨

ふう

はやくふっきれたらいいなあ

そしたら 新しい恋をして

そのひとに

精一杯作ってあげるんだ

また作ってねって言われたら

おまえも作れよって

笑って言ってやるんだ

とおせんぼ

僕の幸せを邪魔する

とおせんぼ

今夜は眠ったあいつを懲らしめに

とおせんぼ 覚悟しろ!

おどろき破れた白いマスクから

僕とおんなじ顔をした奴がいた

幸せを自分で邪魔して 傷つけて

僕はなにがしたかった

しょうじき

なきたいのに

ながれてこないなみだ

なきたくないのに

ながれてくるなみだ

こころとからだ

どっちがしょうじきなんだろうって

きみはいつか

きいてきたよね


ぼくはいま

なきたくて ないている


ひとりでいたくないのに

ひとりになってしまったから

きみのしょうじきなきもちに

ぼくはうなずくしかなかったから

放題プラン

世界の果てまで走り抜いたとして

俺は俺から逃げられない

じっと動かないままでも

俺は俺から立ち去らない

お前もそう

変わるってことは

替わるってことじゃないんだ


一緒に飲もうや

飲み放題

食べ放題

泣き放題で

着替えどうすんだよ

マイナスイオンとかどうでもいいから

蚊が多い滝なんて行きたくないって言っていたのに

うわーすごいってはしゃぐ君

まくったズボンも びしょ濡れで

考えた末 滝に打たれやがった


着替えどうすんだよ ばか


止めないほうが悪いとか

もう口論する気にもならなくて

平らな石にすわって呆れ顔

君のかばんからこっそり


チョコを盗んでほおばる


ふと目があってこわばる


怒った君がふらす

大量の水が僕をぬらす


着替えどうすんだよ ばか

2012/01/07

心に栄養を

心に栄養をあげましょう

さんさんと降り注ぐ 太陽の光

優しく夜空に輝く 月の光


そして


あなたの 笑顔

友達の 優しさ


こんなにも溢れている栄養


それらを受け止めて 僕は生きている

気付かずにいたことも多いけれど

アンテナを向ければ ほら


ぼくもきっと あなたの栄養になれるはず

そうやって僕らは

互いに支えあって生きていけたらいいなあ

すれ違う車、別れた二人の

別れたあなたとすれ違う

目があったはずの二人

今はどちらも気づかない振り

互いの車はすごい早さで遠ざかる


こうなるはずの僕らは

笑っていた思い出も

一緒に乗り越えた困難も

大切に

ただ大切にしまってきたんだけど


ごめんね

あなたがずっと

好きでいられる僕じゃなくて

わかりたくないけど

わかるような

別れの原因




そして僕は

二つの先の交差点を右折した

僕が見た一番きれいな光景

青紫の朝焼けは

今日の始まりを予感させ

昇り来る太陽をつれてくる

黄色に限りなく近いオレンジ色が

ゆっくり頭を見せる頃

僕とあなたは

二人座って何を話したんだろう

初日の出

高校生だった僕ら

あの光景は

何年もたった今でも一番きれいで

僕の頭から離れない



青春の鮮烈な残光と

笑いながらかじった

チョコがたてた乾いた音



ねえ

僕らが今出会ったとしたら

何を話せるだろう?

2012/01/06

明日という風

時は常に前へと進む

あなたが止まっていても 動いていても

つらい過去が昨日のように思えるのは

あなたがそれを引っ張ってきているから

綱を断ち切れば

どんどん遠くへ行ってしまうはず

対面する次々の 明日が来ても

今日後ろを向いたままで どんどん昨日にしてしまうの?

チャンスは毎日訪れている 今も

目を開けていられないほどの 息が出来ないほどの

吹き付ける風のような明日が


...ほら!

空の裂け目に 貴方の声

一人になると

独りの重みに負けそうな時

ぼくは街に出かける

知らない人たちの流れに身を任せ

ゆらり ゆらりと宛てもなく歩くと

家でいるよりは 気が楽になる


ふと見上げた空に 雲の切れ目から降る太陽の光

貴方の声が 聞こえた気がした

負けちゃ駄目よって

聞こえた気がした

馬鹿

『皆、何で二人はそんなに仲がいいのっていうの

...どうする?』

 という質問に『このままで』と答えた馬鹿


本気かどうか知らないまま その会話は終わった

とっさに出る言葉はいつも

ホントの心を避けてしまう


ワンコールで出た電話に驚いて 『早いね』の後に

『大好きだから』といわれても

『誰が?』と聞く馬鹿

『...両方?』といわれてまでも

『上手いね』って返答をする大馬鹿


本気かどうか知らないまま その会話は終わった

とっさに出る言葉はいつも

ホントの心を避けてしまう


僕の手は自分で開けた穴だらけ

幸せの水はいつも 零れ落ちてばかり

それでも

幸せを願う僕は馬鹿でしょうか?

ルックチョコレート

あんなにぴったりの二人が

いつしか道をたがえて ばらばらに

いつまでも同じ歩幅ではいられなかった

遠のいてく背中

少し走って追いかけてみたけれど

追い付けなくて

バッグにはいってる

たべのこしのルックチョコレートが

カラカラとなっただけ

ベンチに座り取り出そうとしたら


二つのチョコは


ばらばらに落ちた


目から何かが


ぽろぽろと落ちた

熱冷

僕らを二つのチョコと考えてみる

まあ、自分は渋目かな

君は、まあ、そこそこだ

ちょっと、味は今あんまり関係ないから少しだまってね

で、二つを重ねてみると、仲がわかるんだ

熱ければ、溶けて一緒になるだろうし

冷たければ、重なったままってわけ

どう?やってみようか?

片恋警報

連絡するといったきり

ずっとかかってこない電話

さみしいけど こっちからはかけません

むくむくと沸いてくる不安

向こうはさみしくなんかないのかな?

思わせ振りな今までの言葉は全部嘘?

何度もかけそうになる気持ちを抑えつつ

今日も我慢 心は不満

片恋警報発令中

、、、

%は測定不能

うたにありがとう

かなしいときにささえてくれた

あのうたが

いつのまにか

かなしいときをおもいだすうたになった

ごめんねっていうと

いいんだよっていってくれる

いまもやさしいうた

寂しがりや何をいわんや

寂しがりや


どこまでももたれかかり

いつも心を求めてばかり

女は疲れて耐えきれなくて

ついには男を投げ出した


支えが消えて倒れたままで

ぶつぶつと聞こえない独り言

受け止めてくれる人なんて

どこにもいないんだって

いつだって孤独なんだって


何をいわんや

2012/01/05

はんぶんこ

おいしいチョコのはなしをきくと

ぼくがいつも思うこと

一緒にそれを食べたなら

あなたの笑顔がいっぱいかかった

チョコがまずいわけないじゃないって


はんぶんこにしようよ


ぜんぶきみが食べてもいいよ

ほんとをいうと

おいしそうに ちょこを食べる君をみるのが好きなんだ

でも食べにくいでしょ?

だから

はんぶんこにしよう

2012/01/03

ご挨拶

あけましておめでとうございます


とりあえず六ヶ月ぐらいが経ち、180位の詩を載せてきましたが、まあ出来も含め数もぼちぼちといったところです。
可能な限り多くの視点で、切り口でと考えていますが、この数になると自分の作風が大体こんなもんかと分かるようになってきました。
それを把握した上で、また創作を続けていこうと思っています。また、過去の作品も見直したときに手直しをするかもしれません。

実話をベースに、イメージを沸かせながら物語を作り、作品にする。といった流れが最近は多く、私の詩の基本になってきました。もちろん全くの創作もありますが、まあ一番自然な方法だなあと。

というわけで 今年も宜しくお願いします



  



板チョコブレイク

人の顔と名前の覚えるのが苦手なのは

その度に新鮮な出会いを感じるため

よく道に迷うのは

人生と一緒で 困難を乗り越えてたどりつく・・って痛い!


ごめんなさい もういいません

もっと他人のことも気にするようにするし

カーナビと喧嘩もせず従います


だからお願い 俺を叩いて

板チョコを食べやすい大きさに・・するなよてめえ!って痛い!




もう逆らいません ほんとうにごめんなさい

開けてお口に運びましょうか?お姫様?

長く冷めたなかの別れ

長く冷めたなかの別れ

傷つかなかったといえば嘘になる

切り出されたときの衝撃は大きく

今まで一緒にいた時間を全て破壊した


でも


何て言えばいいんだろう ほっとした気持ち

無言の時間も長くなり

いつしか未来のことを話さなくなった二人だったから

悲しい開放感があったのかもしれない


そして その瞬間まで

いつか良かった頃に戻れるかもって

どこかで思っていた僕は

別れて五ヶ月になる今を過ごしている

2012/01/01

春訪

さようならと はじめまして の間

僕はあなたに出会ったころは そんなとき

悲しい冬が心の中を

重くて黒い雪をいっぱいに降らせていた


けれど

突然あらわれたあなたは

全てを春に 変えたのです


寂しさが そう思わせたのかもって

僕はすぐには信じられずに

ずいぶん遠回りをやったっけ

本当に馬鹿 後ろ向きないじけた小鹿


だけど

春の暖かさは本物で

僕は大きな背伸びをして 草の上に寝転んだかのように

あなたの優しさに包まれて 眠った

心地よく吹く風 これからの幸せへ向かっていくかのように

寝ても起きても どちらにも広がる夢のような現実


どっちが幸せか喧嘩して 途中で大笑いしたこともあったっけ


あなたとのこれからを

話しながら眠る毎日が大好き

起きたほうが抱きしめて

相手を起こす毎日が大好き

祈り折々

あなたを愛したこと全てが

苦しみに変わることになることを

僕はどうして知らなかったのでしょう

こんなにも楽しかった思い出が

胸をきりきり きりきりと痛ませる


何もかもがうまくいっていた

間違いなく それは幸せだった

今になっては

落とされる高さが 増えていっただけだったのに

どこまでも登っていけると きっとあなたも思っていたはず

いつから僕らは 道を違えてしまったのでしょう

もう 知ることはできない 知る意味もないことだけれど


もし祈ることで

この苦しみが和らぐのなら 僕は祈るでしょう

でも祈ることで

あなたとの全てを忘れてしまうのなら 僕は祈らないでしょう