片耳の犬はどこからか拾ってきた骨をくわえていた
少しすると無造作に放り投げて横になった
いつかは忘れた一人ではない日々
両耳が揃っていた頃かも思い出せないが
たしかにそれは幸福のひとつだった
そんな頃の回想
夢を見るように
若しくは夢として見たのかもしれない
現実に戻り
現在の自分を確認する
自然にでるため息
仕方のない仕方のないこと
無くした耳に聞こえる
幸せだった頃の笑い声
誰のものかはもう思い出したくもないのに
また思い出し少しの間塞ぎこむ
あと何度繰り返せばいいのかと
声に出し起き上がる
放り投げられた骨が
自分に重なった
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