2013/03/25

犬が見た夢

片耳の犬はどこからか拾ってきた骨をくわえていた
少しすると無造作に放り投げて横になった

いつかは忘れた一人ではない日々
両耳が揃っていた頃かも思い出せないが
たしかにそれは幸福のひとつだった

そんな頃の回想
夢を見るように
若しくは夢として見たのかもしれない

現実に戻り
現在の自分を確認する
自然にでるため息
仕方のない仕方のないこと

無くした耳に聞こえる
幸せだった頃の笑い声
誰のものかはもう思い出したくもないのに
また思い出し少しの間塞ぎこむ

あと何度繰り返せばいいのかと
声に出し起き上がる

放り投げられた骨が

自分に重なった

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