2013/03/30

本日もニュースです

ニュースとかいったって
所詮過去の寄せ集め
刺激的に編集され
''客観的''的に伝えられるだけ
決して誰も現実には追い付けないでいるのに
何かの足跡を集めた標本を
朝食や移動の合間に眺めている

多くのひとは
客観的なものと錯覚し
そんな情報を咀嚼もせずに飲み込んでいる

情報のジャンクフード








ちょっと駅まで

駅に続く平坦な道を

ゆっくりと歩く


たまに通り過ぎる車の

荒い運転に辟易しながらも

遠い昔通学で

自転車で通った頃を思い出した


大人に向けて駆け抜けた

生命に満ち溢れたあの頃を

それは自転車のスピードよりも速く

振り返る暇すら無かった


空は一面の青

気持ちよくそよぐ風


気が付けば駅

そして

相変わらずの僕

2013/03/28

柔らかな光

月に照らされて

周りの草も柔らかな表情

近くの川で魚が跳ねる音


月に照らされて

川に写った月に月が照らされて

ちょっと恥ずかしそう









2013/03/26

健全に病むということ

仲のよさそうな老夫婦に抱く

羨ましさと妬みの絶妙な割合

自分は健全に病んでいるようです



くだらない

理不尽な貴婦人の貧相なイマジン

今を足ることがイモータル

満足出来ない才能については有能だねユーノウ

心のいれもんはデーモン

平民を見下すとイントゥーダスト


とか言うのと同じくらい暗いなかで一人クライ

学園のルール

どんな失敗も一言で片付けてしまえる学園

てへぺろ学園

その代わり

一切の言い訳は許されない学園

2013/03/25

犬が見た夢

片耳の犬はどこからか拾ってきた骨をくわえていた
少しすると無造作に放り投げて横になった

いつかは忘れた一人ではない日々
両耳が揃っていた頃かも思い出せないが
たしかにそれは幸福のひとつだった

そんな頃の回想
夢を見るように
若しくは夢として見たのかもしれない

現実に戻り
現在の自分を確認する
自然にでるため息
仕方のない仕方のないこと

無くした耳に聞こえる
幸せだった頃の笑い声
誰のものかはもう思い出したくもないのに
また思い出し少しの間塞ぎこむ

あと何度繰り返せばいいのかと
声に出し起き上がる

放り投げられた骨が

自分に重なった

同類に落ちても

煙草の臭いがする

自分や他人にも害のある無益な行為

ささやかな快楽から抜け出せない弱い心を晒すだけ

自分本意を表す愚行


ひとしきりけなしたあと

攻撃的になる自分を戒める


ギラギラと不愉快な青い光を撒き散らす

黒い軽自動車から出てくる金髪の男女

口には煙をたてる煙草

無意味に大きな笑い声

頭の悪さを自慢したいかのような変なイントネーション


ああ

僕は疲れている

戒めも虚しく沸き上がる怒りをこめた蔑み

目も鼻も閉じて

なにも感じないでいたい僕は


足早に立ち去った



2013/03/24

だからこそ

急に訪れる
僕全体を包む無力感

いつからだろう?
心はずっと昔から蝕まれてきた

日替わりの問題に
もう押し潰されそうな時
時折全てを包んでくれるあなたを思う

あなただけが包んでくれる

いつもいてくれればって

それが悩みにもなるのが悔しい

2013/03/20

あっぺんだうん

好きか嫌いかの二次元グラフ

『どれだけ』も知りたいあなたに三次元グラフ



折れ曲がりが激しい恋はきっと

いつまでも変わらぬ愛

よりも真実だってわかる

こいごころ

いっしょにいるだけで

心が暖かくなる

何かをしなくても

無理をしなくても


ゆっくりと満たされる気持ち

形はなくても

はっきりとあるってわかる



どこかと聞かれたら

心臓あたりにあるって言える

この気持ちの出所


なんだ

ハートって

こういうことなんだ



2013/03/18

五分の魂

手足をもがれたバッタ

死ぬまでをただ動けずに待つだけ

自由に動けたとしても

死ぬだけには変わりないと言うのに


人間もそう

バッタと同じ


でもどうせなら自由の後に死にたい


人間はそう

バッタも同じ

2013/03/17

そこにあるもの

風邪をひいたときの
何枚重ね着をしても止まらない悪寒のように
気分が沈む老婆

不安に思おうが思うまいが
世界は前に歩んでいくし
結果もきっと変わらないんだけど

だからって簡単には
心の制御が出来るわけもなく
現実は現実のままここにあって

やり過ごしては
また遭遇していく毎日を愚痴にする
残りの人生のすべてをかけて

塩っからい味噌汁
豆腐も虚ろな目
沸騰させられ 味噌の香りも逃げ出した

さようなら

さようならのそのときに

まにあうことができませんでした

その のばしたて

つかむことができずに


みとることができなかった

かなしさとくやしさ

たまにおもいだす

ちいさなころのおもいでもいっしょに


なつかしいな

いろいろなきもち

うかびあがる

ほんとうにたまにってところが

じぶんらしくてにがわらい



もっといつも

おもいだしてあげたいんだけどね

ごめんねおかあさん

めいにち

わすれちゃったけど

ごめんねおかあさん


システムにのって

やりたくもない家業をついだ
二代目が経営する
毎月のやりくりも芳しくない
そんな牧場から買われた牛


殺されるために育てられた彼は
予定通り殺され加工されて
それぞれの部位ごとに卸される


焼肉屋にたどり着いた
ロースの上質な部位
ちょっと奮発して来た家族連れに注文されて
お皿に飾られ運ばれた


さあ
焼きすぎず
三種のたれから選んで召し上がれ

本当は塩だけがお勧めです


ぐれいとえすけーぷ

座った椅子から降りて

逃げ出そうとする男の子

慌てて追いかけて

捕まえた父親

どちらにも笑顔


やがて逃亡者は抱き抱えられ

もとの場所に戻された


大きな愛情を浴びながら

横たわる犬、そして善悪

車道の脇で横たわる犬。
誰も寝ているとは思わないだろう。
アスファルトに染み込んだ血の色は
彼の死を表している。

誰が悪いのだろう?
轢いた車?
飛び出した犬?
避けきれなかった運転手?
自然を壊す人間?
それを許容若しくは排除できないでいる自然?
ぐるぐると回る責任。
そして悪という意味は
一周回る度にかすれていく。

後ろへ、小さくなる死骸を背に
僕は進む。
視線と、やがて記憶からもそれは消える。
横たわる善悪も同様に。

おいも

お芋をゆでて食べましょう

やわらかな味

ほっとする

老いも若きも

2013/03/15

カニ

真っ暗な部屋で

目を開けて過ごしている


眠れないのではない

眠ろうと思えないだけ


遠くで聞こえる猫の鳴き声

聞こえなくなったけど

奴は寝てしまったのか

声も届かない遠くでまだ鳴いているのか

どうでもいいことだけど

考えてしまったんだ


静かになって初めて

自分の声が聴こえてきた

そして始まる自分との対話


逃げていたことを知らされて

認めることでほっとした僕は


いつしか

眠っていた


ねえ?

お菓子を包む赤い紙が

風で舞い上がった

もう

追い付けない


ねえ?

お菓子を食べながら風にきいた

赤い紙はどこにいったの?

何か言ってた?

って


昨日からの青い空は

元気な太陽を連れて

みんなを元気にする


ねえ?

そんな暖かな空気のなかを

君はどんな気持ちで吹いているの?

悲しんでいるひとや

満ち足りた顔をしているひとの側を

何か言いたげに通りすぎているの?

って

また風にきいた


返事なんていらないし

きっと聞こえないんだけど


2013/03/14

惑いと生きる

この伸ばした手が

何かを掴めますように


この言葉にならない叫びが

誰かに届きますように


不意の出来事はいつも

心を揺らす


ぼくも

地球も

いつ消えるのかなんてわからない

確かなのは

必ず消えてしまうってこと


だからってすぐに消えてしまいたくはない

生きているうちは思うがまま 

生きていたいって思えるから


何も無い

闇に手を伸ばしてみる

誰もいない

山奥で叫んでみる


汗や涙が落ちて

心のもやもやも落ちるまで





ため息

ため息に揺れる小さな炎

ねえ

あなたはあなた自身で灯火を消してしまうつもり?

零れ落ちる音

灰色がかった雲が

控えめに雨を降らせる

落ちる場所ごとにたてるいろいろな音

僕はただ 聴いていたんだ


大切なものを失ったときの心の音って

どんな音に例えられるのだろうって思いながら

2013/03/11

風の色

海岸に近づくと

風の温度が変わって

ひんやりと


体で感じる

風の色

2013/03/04

歌をうたうよ

おかえり

ただいま

歌をうたうよ


ただいま

おかえり

歌をうたうよ


いつまでも続く

どこまでも届く歌を


私が死んでうたえなくなったとしても

それから先にも届く歌を


言葉は文字通り

言の葉になって

ゆらゆらと

君の前で

揺れて伝られるような

歌をうたうよ


行ってきます

行ってらっしゃい

貝殻のメモリー

パチパチと燃える薪のおと
顔を照らすオレンジいろ
花火の終わった海岸
これ以上燃えないくらいになった薪
誰もいなくなった海岸
パチパチと燃える薪のおとを覚えた貝殻

それ

それを探すべきではなかったのかもしれない

追いかけた先

人混みに消えたそれは

すっかり姿を潜めてしまった

見失うことで

強制的に与えられた考える時間


それ について


そして知る

何だったか思い出せないことを

何故探していたのかさえ


それはついに

記憶からも存在を消して

行ってしまった


深い虚無感をだけを残して



2013/03/01

鳥の彫刻を見上げる僕という世界の縮図

真っ白な世界

平面にひとつの出っぱり

細い円柱のうえに鳥の彫刻

見上げる度に違う姿のそれは

今にも飛び立ちそうな姿

きっと見ていないうちにどこかへ行って

どこからか別の鳥がとまるのだろう

見上げる僕も

きっと何人めかの僕で

世界はこうして続いている

意味なんて置き去りにしたまま