バランスに気を付けて進む
狭かった道が開け
細い水の通り道が現れる
沢蟹は突然の来客に驚き
辺りへ逃げる
ここはもう無人の小川だった頃を失った
手に水の冷たさをのせ
こぼれ落ちる音を静寂に流し込む
ふと目を上にやると
日を遮る木の枝たちに
鳥は飛び乗って遊んでいた
異物に気付いたのか
鳥はいつしか姿を見せなくなっていた
ああ
日常を避け山に身を潜めようとした男よ
君はどこへいったって君を連れていっているのだ
君のいないところなんて
君の世界にはどこにもないのだ
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