使いかけの鉛筆が手から離れて床に落ちる
乾いた木の音が続いている間に
僕は消ゴムを落とした
ゴムの部分が床に当たったのか
音という音はしなかったのを覚えている
僕は落としたり失ったりを繰り返してきた
鉛筆や消ゴムは床に転がったまま
拾うかどうかはぼくが決められるんだけれど
僕が今まで落としてきたものはそうじゃなかった
転がったまま拾ってくれるのを待っているなんて
そんな悠長な存在っていえば
…それは僕自身ぐらいなもの
冗談じゃなくそれはそうとしかいえない
それが冗談みたいに笑えるんだ
僕は
何を手にできるだろう
落とさずにいられるのだろう
例え持ち続けられたとして
塞がった手が持てなかった
もっと良いものがあったのではという
更に馬鹿な思いを持たずにいれるだろうか
僕の手は乾いている
僕の手は渇いている
そんなことを考えているうちに僕は
ペンケースを床に落とした
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