詩人 ラエル・スーン 心の灯火
詩人ラエル・スーンの不定期更新ブログです。
2017/04/29
何が引き起こす 心揺らぐ この不安を
心揺らぎ
地に足が付かぬ状態を
人は恐れる
時には
喜びすら人を
恐怖させる
何もないとき
つい人は
それが続くのだと勘違いする
悲しい生き物
生まれ落ちた瞬間から
死を約束された私たちは
少しでもそれを忘れたくて
少しでもそれから抜け出したくて
心を平静に保とうとする
心揺らぎ
現実を目にした私たちは
恐れる
分かっていることに
恐れる
2017/04/25
ドライアイス
何のきっかけもなく
まるで
ドライアイスに水をかけたときのように
舞台は
霧に隠れてしまう
うまくいっているときも
そうでないときも
どちらともいえないときも
そこから何かが現れるわけでもなく
そのまま霧は引いていくわけだけれども
Peter Gabriel の
上手くはないけれど
何度も聞いてしまう歌を
ひとしきり聞いた後のようだ
Secret World
僕は何度 この歌の深さに沈み込んだだろう
僕たちは この世界のどこかに 愛を潜めているって
What was it we are thinking of
ゆっくり よくお聞き...
世界中の人々がこの世界に潜めている愛
そんな中 僕たちは生きているってことを
2017/04/23
ヤドカリ君の憂鬱
ヤドカリ君
ごつごつした岩の間
海水をぶくぶくさせながら
憂鬱な時間を過ごしている
失敗したことを
思い返しては
後悔
何かに隠れて生きてきた
そんな自分が嫌になっても
この仮宿を脱ぐ勇気もない
好物の小さな生き物を素通りして
少し深いところへ移動してみよう
明日
無理だったら もう少し明日にでも
トイレットペーパーの芯から見える真実
ただ
山が遠くに見える風景を
トイレットペーパーの芯から覗いてみると
見える真実
2017/04/16
タイルに納豆を投げつけたような
薄い青のタイルに
納豆を投げつけたような
そんな春の昼下がり
白いプラスティック製の容器から
納豆が顔をだして
臭いにおいを放つんだ
タイル自体には変化はないけれど
床に落ちた
納豆(とその容器)は
無音 無音 無音
拾うのも面倒なので
なかったコトにして帰る
コレを見た人は
なんて想像をするんだろうな
とか考えながら
家路の途中ですっかり忘れて
次の日の昼下がり
通りがかって思い出すんだろう
ああ
なんか俺
納豆なげてたなあ
って
そんな昼さがり
2017/04/15
judge
納得 という ことばがある
何かをすることに
納得なんて一々していられない
後でどんな
judge
をしたって
大体が 後悔
この世の中を 泳いでいく中
オールマイティなカードなんか 無い
ありったけの 考えと運となんかよくわからない力みたいなもので!!
俺は!! 生きていく!!! みたいな なんか力が入った感じの変な自分
納得なんて なんかしたってしなくたって 格好わるくない?
だれか知らない人の
judge
で 良い悪いを決められたって 平気
誰得 なんて ことばがある
そんな感じで いいんじゃないかって
てきとうに おもうんだ
2017/04/14
思い出して泣いた 思い出はあなたと別れた時間から先にできた あなたとの思い出
ああ
いままで死んでいった僕の知っている人たち
これから死んでいく人たちを
どうかこれから 忘れませんように
ぼくは そう
哀しみを感じない人ではない ので
泣かないからって
悲しんでいないわけではない ので
薄情だとか ドライだとか
勝手な押し付けをされるのだけは 困る
別れまでの 別れが決まっている人との時間は
何よりも つらい
逃げ出したときもあるし
不意に立ち会ってしまうことも あるだろう
泣いた からって
泣かなかった からって
どっちにしたって
僕はそれからの人生に
その意味を背負ってしまうのだろう から
ふとそのことが よぎって
急に涙が ぼろぼろと 落ちてしまって
嗚咽を漏らすことがあっても
思い出して泣いた思い出が
あなたが死んだ後にもできた思い出として
残るから
何か嬉しくなってしまう かも
楽しかったねえ 喧嘩もしたねえ
もう会えないことが 残念でなりません
でもこうやって 覚えていますって
それがせめてもの 手向け?
自分への 慰め?
ふう
少し 足を止めて
浅呼吸して 目をとじる
少しして 目をあけ足を進めた
その場所から その時間から 前へ
2017/04/12
毛玉の旅
セーターに毛玉
とってもとっても毛玉
但し書きに
現在の技術ではなんたら書いてある通り
毛玉は存在するものなんだって
ふうん
まあ いっか
口にしたアメや
プールに潜っているときのゴーグルの中とかに
毛玉が有るよりはよっぽどいいし
なんていっていると
シャワーする度に排水口に溜まってたらやだなあとか
かんがえちゃうんだよなあ
毛玉の旅
セーターからの自立
なんてタイトルを考えたり
そして!
舞台はセーターへ
さあこの毛玉さん
手でむしり取って ぽい!
さあ旅は始まった
お気をつけて
2017/04/09
ジャンクフード
手軽に おいしく
その代償は高くつくとも知らずに
手軽に おいしく
人々は 楽を求め 幸せの価値を下げている
ジャンクフードのように
大した栄養もないもので 腹を満たしている
当たる見込みのない宝くじ
「買わなければ当たらない」
一生夢を買い続ければいい
身の回りの人も幸せにできないくせに
叶うはずのない夢を追い続ける人のようだ
何かのついでに
「家族の支えのおかげ」なんて
頼むからそんなふざけたことを言わないでくれ
手軽に どこにでも ジャンクフードを口にする
なんだ
世界に一つだけとか 自分のこと言ってても
そういったものを 怠惰に 貪っている
誰もが同じようなものを食べて
流行りに流されて行く
ちょっとした独特さを
さも自分らしさなんて大げさに言うけれど
そんなもので
人を見分ける要素になるもんか
私?
ジャンクフード
大好きです
いちご 潰した
いちご
を 潰した
赤
血
を 連想した
いとも容易く人間は
血
を流させたり 流したり
いちご
を 潰したときのように
赤
く流れ
血
を 連想した通りに失って
死で 埋葬される
ねえ?
人の体
その中の精神も
血
でできているって思えない?
赤
いもので 満たされている
まるで
いちご
みたいだ
2017/04/02
知ることで失い 知らないことで得るもの
まだ何も知らなかった(何もと言えるくらいしか知らなかった)頃
私の世界は殆どが想像でできていた
成長の過程で増えていく知識に
想像の世界が瞬く間に侵食され
多くの素晴らしきまだ見ぬ世界が
そうではなかった世界に塗り替えられていった
何も知らないということと
何かを知るということが
簡単に白黒を付けられるものではなかったことに
切なさを禁じ得ない
知ってみると案外
何ということはなかったんだなんて
それでも まだ
知識や認識が届かない 私の世界に
救いが残っていると信じている
まだ何も知らなかった頃の
まだ見ぬ世界を想い なかなか寝付けなかった夜
世界はあんなにも
希望や驚きに満ちたものであったのだから
新しい投稿
前の投稿
ホーム
登録:
投稿 (Atom)