2017/11/29

オン・ザ・ロード

通り過ぎる車が

巻き起こす不快な風に煽られて



意味もなく

歩くために歩く工程に

それを晴らす力はない


何が幸せで

路上に寝ているのか

薄黒くなった顔

もはや同情もない

平等? だれもが人として生きることができる?

あまりにもこの世界には

見過ごされていることが多すぎる

気付こうとしないことが多すぎる

歯がゆくも

解決できない問題が多すぎる


ねえ?

何台も通り過ぎた車が

あなたに向けた目線は

暖かかった?

あなたが見るこの世界は

どのように映るのだろう

オン・ザ・ロード

生きるも

死ぬも


2017/11/26

不可逆とカメムシの関係

心の隙間に123

何もないところに

何もないまま

過ごすカメムシのように



風は何処からかやってきて

何処かへ行ってしまうけれど

何処って言葉は便利でいて

浅い言葉だなって

少し脱線


給料日に見る

割引の弁当

少し嘲笑

すぐに飛びつくことになるくせに



心はすべて

自分次第

心臓の鼓動と同じように

どうにもコントロールできないもの

まあ


不可逆 不可逆

時間が進むのと同じ方向へ

何処かへ向かっていくのもいい

カメムシのように

ひらりと何処へいこうかな

光が好きなカメムシ

少しチープな

人生観でもって

2017/11/25

お城で眺める下々の民

お城で眺める下々の民

何故か楽しそう

あんな貧しい服装で

輪になって回るだけ

どうしてあんなに笑っているの


煌めいた装飾

値段もつかないような絵画

誰も城の中では

あんな笑い声をする人はいない


幸せって

位が違えばああも違うものなの

少しだけ

羨ましくもあるけれど


やがて夜

テーブルに並べられた

数々の食材

汗一つかいていない

城の中の人たちが

黙々と

グラスを傾けながら

食事をしている


私は一体

何が幸せかわからないまま

寝床について

夢を見た

下々の民と一緒になって

輪になって踊る

夢を

もじ

もじ

入れ替えたら 

じも

もじは記号

組み合わせてやっと

ことばになる

せかいのきき

世界の機器

世界の危機

どうだっていい ことばあそび

そんなものに

何を覚えるというのだろう


2017/11/16

拙者の旅

拙者は背中に車を背負い

村と村を駆け抜ける

ときには
いろんなものを背負って

何かを届けるわけでなし
誰かを助けるわけでなし
何処にでも居るろくでなし

拙者はいつも心に忍ばせた
忍びの本道から逸れないで

村と村を駆け抜ける

ときには
出くわした熊から
颯爽と逃げる拙者

町娘はいつも
拙者を目に追えぬでいるらしい

村と村を駆け抜ける拙者

好きな鶏肉があれば
泊めてもらってもいいでござるけど

いかんともし難い山道で
猪に追いかけられ

骨を折ったでござる

おおうなばら

おおうなばらに
こぎだそう

なにがあるかは
まだわからない
けれど

せかいはきっと
おもったとおりのこと
ばかりではない
だろうから

そうなんしたり
しらないしまに
たどりついたり

なにもなかったり

それほどでもなかったり

こうかいにでて

こうかいしてしまったり


2017/11/13

言い訳の海 パラソルは砂浜に刺さって

気分が乗らないとか
運が悪かったとか
なになにが 何々だったとか
言い訳の海の中

溺れる程の海水
寄せては返す繰り返し

照りつける太陽の下
パラソルを刺した砂浜から
その哀れな海を眺める


本当に大事なことは
この海の何処を探したって
見つかりはしない

分かってる?

分かってるけどってまた
何かが帰ってくる

わざとでも
無意識でも

この水平線に辟易

ねえ
私はただ
心と心で会話をしたいだけ

大事なものはきっと
この海にはない

何を
間違ったのだろう

この海に
何を
見てしまったのだろう

次の夏
この海には
私の姿はないでしょう

きっと

気分が乗らなかったり
運が悪かったり
なになにが何々でしょうから

2017/11/10

感慨

だいたい
ふと足を止めて
何かを考えるときにくらいしか
悲しい気持ちは湧いてこないから

足を止めなければいいのかなって

でも
それもなんか
逃げているようだって
気がつけば何かを考えふけっている

みかん
皮をむいて
別に食べたくなかったのにって
我に返る

そんな風に


古い歌をきいて
沁みるような
染み込むような気分になる時
昔が少し思い出せたりして
ふと
我に返る時

人間の記憶って不思議だなと
無駄に感慨

無理に太陽を見てみたって
眩しい光が
網膜に残るだけ
別に明るいものを見たからって
どうなるわけでもないのにって
網膜の光に少し苛つきをみせる

そんな風に

無駄が無駄を呼んで

少し時間を費やして

ぼくと
地球は回っている

太陽の周りを
宇宙のどこかの区域で

川のせせらぎや
森の葉の囁きの

まったく反対のところで
足を止めて
僕は感慨


2017/11/09

ぬかるみ

こころの こころの ぬかるみに

はまりこんで動けなくなった人

こころの こころの ぬかるみを

前にして途方に暮れている人

飛び越えてしまえる力と 勇気がほしい

持っていれば 困りはしないから


こんなにも空は
乾いた空気の向こう
きれいな筋をした雲

どこか
別世界のような
きれいな筋をした雲

私のこころのぬかるみなんて
何にも気にしないで
空を泳いでいる雲に

勇気をかってにもらったり
少しうらやましく思ったり

この世界はきっと
私の心に写っただけの映像じゃないかなって

おもえるほどの
きれいな筋をした雲

意味がない者同士で

生きていくことが
意味のないものとしたら

宇宙の始まりを
一生かけて解き明かそうとする人も

セールの始まりを
一晩並んで買い散らかそうとする人も

どちらも意味がない同士

インフレーションも平行世界も
ブラックホールも

ディスカウントショーもweb通販も
オータムフェアも

意味が無いということでは同じ

でも

一緒では ないよね

生きていく中で
それぞれが満足できる足跡を残せたらと思う

それがすぐ消えてのこるものでないとしても

二度と出られないブラックホールに
オータムフェア最大80%オフを求めて飛び込んだって
いいじゃない



2017/11/05

振り向かない

立ち去る人を
ずっと見送る人

相手は
姿が見えなくなるまで
振り向かない

踵を返して
玄関をくぐる

ふと
見えなくなった人の方を
振り返りながら

長い間話した後
家路に帰る人が
一度も振り返らずに帰ってしまった

ほんの
ちょっとしたこと

でも
ちょっとではないこの心の空洞に

私は何かの
答えをみつけようとした

答え?
急に何故と
自分の感情におどろいて

テレビから離れて
無意識に
窓を眺めた

見えなくなった人の方を

ぼんやりとした答えが
浮かび上がってきそうな
気がした





青い虫

村の男に
青い虫が湧き出てきた

誰も信じられなくなって
色んなものが嫌になって
前向きに生きていくことを
諦めてしまう
虫が

座っていても
横になっても
外に繰り出してみても
除去できない


時間だけがそれを
解決する

やがてさなぎになって
蝶になって
どこかへ飛んでいってくれさえすれば

少なくとも男は
前に進める

桜が散って
またつぼみをつけるまで

男が本当に
この世からいなくなってしまうまでに
飛んでいってくれさえすれば

2017/11/04

いやなこと

世界を救うとか
大概なことはおもわないし
おもえるひとになりたいともわないけれど

子供がちょっとしたものを欲しがって
お金がなくて申し訳なさそうに断る姿は
見たくない

何度も何度もねだって
親を困らせる
かなしい風景をみるのは
とてもとても
いやなこと

貧しさを理解し
ものを欲しがらなくなる子供も見たくない

だれもがそうなってほしいと
本当に思う

思うだけでなにも
してあげられないけれど


2017/11/02

負けてベルトをなお締める

一日の終りに
勝ち負けの判定をしてみると

勝った日
負けた日

今日はちょっと勝ち負けとかどうでもいい日

同じと思っていた日々に
ちょっと違いを感じるでしょう

勝った日
勝って兜の緒を締めたいけれど
兜なんて五月人形しかかぶっていないから

ベルトをいつもより締めてみた

勝ってベルトをなお締める

お後がよろしいようで
おやすみなさい

って
あまりお後もよろしくないけれど

このままじゃ眠りにくいから

ベルトを外して

ベットで寝かせてくださいな