しぃ・・・っ
まだきちんと眠っていないから
もう少し音を立てずにいて
小さなネズミの赤ちゃんが
廃墟の穴の空いた壁の向こう
眠りにつこうとしている
車が通る音がする度
母親ネズミは赤ちゃんが起きないか心配する
もういいかな
行ってらっしゃい
気をつけて
明日
早く目を覚ます子供のために
虫を取りに行った父親ネズミ
眠りから覚めないよう
母親ネズミはそっと横で眠る
翌朝
帰ってこない父親ネズミを
壁から少しの距離の
扉の向こうで
猫からかじられた死体を見つけるまでの
ほんのわずかな
幸せだったひと時
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