2024/12/22

思い出して泣いた思い出はあなたと別れた時間から先にできた あなたとの思い出(remastered)

ぼくが知っている 死んでいった人たち
そして
これから死んでいく人たちを
どうか ぼくが忘れませんように
ぼくは
その人たちが死んで
その時に泣かないからって
悲しんでいないわけではない ので
薄情だとか ドライだとか
勝手な押し付けをされるのだけは 困る

病で 別れが決まっている人との時間は
何よりも つらい
いずれ別れる悲しみが 先にやってきて
会うのが辛くって 逃げ出したときもある
泣いた からって
泣かなかった からって
どっちにしたって変わらない
ふと思い出して
急に涙が ぼろぼろと 落ちてしまって
嗚咽を漏らすことがあっても
思い出して泣いた思い出
あなたが死んだ後にもできた思い出が
残るから 少し嬉しく思えます

楽しかったねえ 喧嘩もしたねえ
もう会えないことが 残念でなりません!
でもこうやって 覚えています!
あなたを覚えているから
今ぼくはこんなにも泣いています!
ねえなんで
誰にも当たり前に訪れる死に
こんなに胸を締め付けられてしまうの?
それがせめてもの 手向け?
自分への 慰め?
ふう いくら悩んでもわからないや

少し 足を止めて
浅呼吸して 目をとじる
少しして 目をあけ足を進めた
その場所から その時間から 
僕は前へ 
仕方なく 
進んだ








2024/12/15

宇宙って聞くと スケールの大きなことを考えてしまうあなたへ(remastered)

人がいうには
この宇宙は今でも
膨張をしているらしい

そして

膨張する前の空間が何かも
そもそも宇宙の外も中もどうなっているかも
確定した答えをもたないらしい

科学者たちは
宇宙を知るために
ずっと上に有る空の向こうに
地上から手をのばしている
子供みたいに

翻って

僕らは
お互いの心の中を
ほとんど理解できていない

宇宙と比べて
ずっとずっと
ちっぽけな人間のことなのに
全然
ほんとに全然

この世界は
分からないことや
できることの限界が多すぎる

僕はいくら地球がひっくり返ったって
『願いはきっと叶う』なんて
馬鹿げた事をいうつもりはない

無責任な
残酷な言葉なんて
使いたくない

見えないずっと遠くだけじゃなく
僕の手の届く範囲

ここだって
宇宙の一部

遠くを見るばかりで
近くを見過ごさないで

たまには空を
見上げるのもいいけれど

空の向こうに
僕たちはいないのだから

2024/12/10

群青色の鈴ですか?

歩道沿い
汚くなったガードレール
私もだいぶ生きてきて
このくらいは汚れていそうだなって
お腹の奥あたりを触りたくなった

過去はサビのように
心に蓄積していくもの
青い空を見上げたって
何ひとつ剥がれはしない

およそ食べ物だと思えない何かを
スズメが奪い合い
そして飛び立っていった
私はまだここにいる

少し先に小さな公園が見える
誰もいない

公園まで進むと
私だけがいる公園に
鈴が落ちていた
群青色の鈴

私は拾わずに立ち去った
公園は再び
誰もいなくなった








2024/12/06

君にわかるか(僕はわからない)

夕焼け
悲しい気持ち

好きな人を
嫌いにならないといけないときが
僕にはあるかもしれないことを

君にわかるか

大きな裏切り
なかったことにしようと頑張っても
出来そうにない絶望を背負うことが
あるかもしれないことが

僕はわからない

そんな時
どう終わらせればいいのかを
何でこんなにも
僕が惨めな思いをしないといけないのかって
思うだろうことを

ちょっとした
安らぎや
楽しさをくれる人がいても

塞ぎきれない隙間から
吹き出してくる風

音が大きい
耳を塞いでも
なお

君にわかるか

どうしようもなくて
何も考えられない日々が
いつまで続くのかって怯える気持ちを

僕はわからない

夕焼け
何でこんなに綺麗なのか

いったい何が僕の目に映っているのか

この世界はこんなにも
悩みや苦しみの割合が多すぎる

いつまでも先延ばしには
出来そうにない

あーもう
全てぜーんぶ
忘れてしまえればいいのになー

何で僕がこんな目に遭わなきゃいけないんだ

君にわかるか
わかるわけないだろう

僕はわからない
わかりたくないにきまってる

みんな裏切る
みんな裏切って

僕はヒトリ
夕焼けをずっと見つめながら

また夜に溶けるのだろう


2024/12/02

ゴキブリの恋占い(remastered)

私は
暗いところが好き
夜のお散歩が大好き

人間はいつも
私たちを見つけると
驚きや殺意
まるで
目の敵のように

何でなの?
人間ってわからない

それはともかく
今日も人間の家から家へ

飛ぶのはつかれるから
いつも歩いているのだけれど

飛んだときの私をみた
人間はうってかわって恐怖の顔
失笑もの

羽を隠しているわけでもないのに
飛べないとでも思っているの?

ほんと
人間ってわからない

そんな私も
恋に落ちて
たくさんの子供ができた

成長が楽しみでなりません

子供たちが大人になるころには
私はもうこの世にいないだろうけれど

あなたたちは
元気に行きて
人間を驚かしてほしい

じゃあね卵達
お父さんはもう行くよ

最後に
恋の占いを

人間から
隠れた先に出会った異性
目があったら微笑みかけてごらんなさい
同じくらいの笑顔が帰ってきたなら
多くの卵を産めるでしょう

それじゃあさようなら

美味しそうな香りがする
不自然な紙でできた家にはくれぐれも
気をつけて

どうかどうか
良い一生を過ごせますように