冷蔵庫の中で
ずっとしまわれている
僕の炎
奥の奥の方
冷蔵庫を開けても
見えないところで
たぎっても
たぎっても
冷やされてしまう
せめてここから出してくれれば
何かを灰にだって
できちゃうのにって
炎はいつも
ぼやいている
鬱な気分も
何もかもに感じている無意味さも
なんだって
燃やしてしまえるのにって
賞味期限って
あったっけ
取り出しても手遅れだったなんて
絶望でしかないよね
漫画でよくある
逆転を狙ったとっておきの奥の手が
不発に終わった時のようだ
縁起でもないな
でもよくあること
本当によくあること
よく生きていけるなって
思えるくらいは味わってきているのに
仄かな希望と
決定的な絶望を
繰り返している
これはある意味強さかもしれない
実は
冷凍庫にも
僕の炎が
あるらしいよ
凍らされてもなお
燃える炎が
ふふん
やっと死について
考えることができたのですね
楽しんで 悲しんで 苦労して
自分を探したり
何も考えずにいても
人には必ず死が訪れるのです
いらっしゃい
あなたを迎えましょう
それでは
あなたが死を受け入れるきっかけとなった
出来事を
聞かせてもらいましょうか
ふむふむ
一言では表せない
重く苦しい気持ちになったのですね
ずっと心の奥で
燻ったものが這い出てきてしまったのですね
よろしい
やっとあなたは一歩を踏み出せたのです
当分はその考えに苛まれ
少しの間忘れ
すぐに思い出す
その繰り返しを続けていくことでしょう
しかし
これであなたの生は
やっと前を向いたものになりました
一度きちんと受け入れること
先ず大事なことは
そこなのです
今までの生活にの
何気ないひと時にも
意味が増していくことでしょう
どんな死に様を迎えるか
たまにでもいい
それを思い浮かべながら
あなたは生きるのです
これは
目に見えない
考えても答えが出ないことです
だからこそ
意味がある
あらためて
あなたを迎えます
そして祈ります
あなたの死が
あなたにとって
意味のある死になりますように
穏やかに死ねるような
良き人生が送れますようにと
The walk to paradise
楽園って言われても
何もピンとこない僕は
きっと幸せになれない心質らしい
そうだねきっと
何もかも満たされた世界って
むしろ地獄だって思えるもの
でもそんな僕の人生でも
死ぬまでに何か
持って帰れたらって思うことはある
その何かが
何かはまだわからないけれど
The walk to paradise
僕が死ぬまでに
何かを持っていけますように
生きた意味とまでは
いかないまでも
これだって言える
何かを
履き掛けの靴で
飛び出すように外に出て
バス停へ向かった
笑い声
子供の
親の
聞こえてきた
忘れた頃に吹いてくる風にそっと押されて
家から近くのコンビニの前を
入るかどうか迷いながら通り過ぎ
たら急に
車が私の横を通り過ぎた
こんな狭い道を
ミニバンは
そんなに急いでどうするのだろう
世界
私の
私以外の
生きているトコロ
あなたたちが本物かどうか
知るよしもない
私だって
バス停近くのコンビニの前を
入るかどうか迷いながら通り過ぎ
た人と不意に
目が合いながらすれ違った
バス停へ着いたら
バスに乗って
椅子に座れなかった人たちを
観察するんだ