砂浜をあてもなく歩く猫が好きだ
松林に迷いこんだ犬を遠ざけると
餌もないのに散歩する猫を眺める
彼はかつて何もかも満たされつつ
不自由ない人生を送った後死んだ
気がついたらここに存在していて
何処にも行けない事を後で知った
雲ひとつない青空から降る光線を
空気とおなじように透き通らせる
一面の雨雲から落ちる大粒の滴は
遮られないまま地面に叩きつける
出来る事なんて殆ど失ってしまい
幽霊になった自分を呪うばかりだ
今日も彼は羨ましそうに海を見る
その視線を何も知らない猫が遮る
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