2013/02/28

足りないもの

雲の白さが増してきた気がして

春の訪れを予感する

まだ肌寒い昼先


いつもの本屋へ向かうまっすぐな道も

むずむずとしているようだ

にこやかな日差しも

もうすぐ戻って来るから

喜びに踊る気持ちが抑えられないんだろう


本屋を出た帰り道

立ち止まって息を吸い込んだ

のどを刺す冷たさの中にも

ほのかな優しさが


季節はこうして移って行く


ねえ誰か


声を出さずに叫んだ


心の冬を終わらせてくれる人はどこ?

つい求めすぎてしまううちに

そばに居てくれる人がいなくなってしまう

そんな自分にも

春はいつかくるの?


答えはないまま

季節に追い越されて



青空と白い雲のなかにまじって

黒い小さな雲がひとつ

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