2013/02/28

でりばてぃぶ

手数料の50000円をはらって

この一ヶ月での心が落ち込んでいたら

落ち込んだ分に応じてお支払いをしましょう

良いことがあって心が上向いていれば

何もお支払いはありません


そんな


心のオプション取引


応募したんだけど


断られました


あなたは落ち込みやすいので取引になりません


だってさ


まあ納得



足りないもの

雲の白さが増してきた気がして

春の訪れを予感する

まだ肌寒い昼先


いつもの本屋へ向かうまっすぐな道も

むずむずとしているようだ

にこやかな日差しも

もうすぐ戻って来るから

喜びに踊る気持ちが抑えられないんだろう


本屋を出た帰り道

立ち止まって息を吸い込んだ

のどを刺す冷たさの中にも

ほのかな優しさが


季節はこうして移って行く


ねえ誰か


声を出さずに叫んだ


心の冬を終わらせてくれる人はどこ?

つい求めすぎてしまううちに

そばに居てくれる人がいなくなってしまう

そんな自分にも

春はいつかくるの?


答えはないまま

季節に追い越されて



青空と白い雲のなかにまじって

黒い小さな雲がひとつ

2013/02/23

むずかしいことではなく

存在していようがいまいが

意味はないってことがあるよね


例えば

道行く人たち

焦点をあわせなければ

ただの風景


認識しなければ存在しないということ

存在しないと同じだということ


結果の先に来る理由

決まっていないことを決める

隙間を埋めるような作業

きっと

わかり合えないことは

そんな作業じゃ埋められないのだろうね

無理に気を引くかないといけない状況は

きっと小手先でひっくり返せるものじゃないだろうから

決まっていないことを決めない

隙間を放置したとしても

わかり合える二人なら

いつの間にか

埋まっていることに気付いているのだろうから

苦しみから逃げるために逃げる

昨日と今日の切れ目に

一度なんらかの線が引かれたとしたら

僕が一瞬

どこにも存在しない時があるんだろうね


その少し前に死んでしまって

そっと消えてしまえたらいいのに


死んでしまうってことの

自分や他人の苦しみを

放棄してしまいたい


それが可能なら

今だっていい


2013/02/22

ああなんてきれいな小石

道端の小石にも意味を見いだせるような

幸せへのセンスと言うべき能力が欲しい

木々は風に揺らされる

僕らの心のように

2013/02/21

不可逆

光から影はできても、 影から光はできない

2013/02/17

急に落ち込む穴にて

切り分けられたピザ

飲みかけのジュース

埃がかったテーブル

いつだってそう

なにかが終わったり始まったりが交錯して 

『何もない』状態には帰れない

カオスの増大の果てに

すべてが塵に帰るまで

2013/02/14

川は今日も流れる

寝転んでいるライオン

身震いするペンギン

小説が印字された長いレシート


ぼくらはきっと

白い皿に乗った枝豆

冷たいビールが来るまでの命


手足を縛られた

森を横切る川は

せせらぎをこの世に与え

今日も流れる

意味なんて考えないで

2013/02/09

少なくとも僕にとって

味付けや/包丁さばきや /食材や /飾り付けも大事だけれど /なによりも /『大好きな人が作ってくれた』 /ってうことに敵うおいしさはない

2013/02/07

笑顔にあなたができること

小さな子供の笑顔って

本当に純粋に可愛い


ただ 笑顔の目線って

相手の目を見つめていることが多いよね


『ねえ!ぼく(わたし)は笑っているんだよ』って


あなたに向けられた笑顔に

あなたは何をしてあげられるのかな?

2013/02/03

イメージ(性格というフィルター)

炭酸の泡のように

どこからか現れて

どこかへいってしまう人生

極端なまで考えたら

そんなイメージがわきました

あるステーキ屋にて

ただ殺されるためだけに育てられ

魂の抜けた肉と骨だけの姿にされ

冷凍されたのち運ばれて

機械で更に切り分けられて

店にたどり着いたあなただったものの一部

それを焼いて

盛り付けられたこの料理を

そんなことを全く考えないようにして

食べる

おいおい

平凡な毎日とか言いながら

なにもしない人たちに

一秒ごとに訪れる老い

待ち受ける過酷な自然に親は何を思う

小さな水路に流れる濁った水

そんなところに産み付けられた卵

無事孵ったとして 

一体 子供たちに何を願ったのだろう

命を繋げる本能がただ

卵を産んだのだとしても

どちらでも残るこの無情感


もう戻ることはない親たちに

ぼくは聞きたくなって

流れに揺れる卵を見つめている


別れがたてる音

歩きながらふと考えた


別れについて


死別でなくても

今後一生会えないということはある

会えたとしても

それまでとは違うお互いということもある


別れで切断される繋がり


大事なひとほど太い繋がりは

それぞれの音をたてて切れる

それは

耳に残るほどの音や

もうどんな音だったかわからない音まで


おんなじ別れでも

その音は

お互い同じに聞こえることって少ない気がして


やるせない気持ちで見上げる雲