2021/12/30

チキンソテーの肉汁と僕の人生

 ふと一人で入った

個人経営の小さな洋食屋

古めかしいメニューを眺めた


注文後

かなり後にやってきた

チキンソテー


皿に小さく盛られたライスはボソボソで

切り刻まれてから時間が経った野菜で彩られたサラダ

風味がもう

死後硬直

チキンから染み出してくる

安っぽい肉汁とバターの貧しい風味が織りなす

損な香り


980円の価値とは

と考えさせられる

とてもタメになる食事を取ることができた僕は

煮出されたあと何度も温め直されたような

香りが旅立って久しいコーヒーを嗜んでいる


こんな体験も

人生の中で考えたら

ほんの一瞬のできごと


こういうのも糧にしないといけないんだっけ?

と独り言


4車線の道路を堂々と横断する人を見ながら

ランチの時間が終わった









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