宵闇に
潜ませていた暗い思いが
目を光らせている
俺は隠れているけれど
決して何処かへ行ったりはしない
俺がここに居ることを
忘れたふりなんてするんじゃないぞ
と
朝になると
闇と一緒に居なくなったように見えるが
見えないだけで
また夜には光る目が知らせてくれる
宵闇に
潜ませている暗い思いが
歯を光らせている
俺は動いてはいないけれど
決してこのまま動かないわけではない
俺がここに居ることで
ずっと平穏が続くなんて思うんじゃないぞ
と
川辺に座り
近くを飛んでいる小さな虫を見て
こんなちっぽけな存在でも
自然の連鎖何かに含まれているんだって関心した
同じ生き物とはいえ
そんな地球の脇役の中の脇役に生まれたことを
少し同情しつつ
結局役割の大きさに関わらず
生命は終わるものなんだよなって
悲しい悟り
同じ人間でも
辿る人生は色々
年代や
国や
種別や
持って生まれた特徴や
生まれた後の境遇
等などで変わるけれど
寿命という砂時計は
さらさらと進んでいく
残った砂の量は誰にも分からない
どんな人生を送っても死んでしまうからこそ
その間は楽しく暮らしていたいって思えた
ふと気付けば
辺りは夕暮れ
耳の近くを
少し不快な羽音を立てて
虫が通りすぎていった