2025/08/16

River

湧き水

湧いたばかりのぼくはただただ澄んでいた

何もわからないまま旅は始まって

人は個であり群であるって

下る途中で気付かせられながら


何かにぶつかって何かを覚えながら

誰かに出会って誰かと別れながら

時にはゆっくり時にはきゅうに曲がりくねりながら

いつか

海へとたどり着くのだろう


ねえみんな

僕たちのたどり着く海はどんなところなんだろうね

何かが同じで何かが違って

いるのだろうけれど


でも

海であることは変わりないんだろう

もうそろそろこの旅にも疲れたところ

海は近くもある遠くもある

もうすこし

下り続けなくちゃいけないみたいだ


湧き水だったころの澄んだなにかは

もうどこにも残っていないけれど

これまでのすべてが今の自分になっていること

悪くない


まあ

そう思えるだけ

少しはましな人生だったのかな

2025/08/09

救い

急に出てくる

過去のクリティカルな出来事

僕の脳

いつまでこんなもの

記憶にしまってんだろう

おどろいた


思い出して

また傷つくだけ

なんのために?

って


良いことより圧倒的に多い

悔しいこと悲しいこと

記憶のシステムは

いつもユーザー想い

どよめいた


ふと口から出てくる

あの時好きだった歌

その頃の記憶が

後から湧いてきてしみじみ

ときめいた?


僕の脳

こんな時にこんなことを

なぜ取り出してくるのだろうって

いらだった!


涙に似た

目から出てくる液体を

流れるままに任せながら


ねえ

僕はなんのために

生まれてきたんだろうね


悔しいこと悲しいこと

もういいよう

楽しいこと嬉しいだけで

過ごしたいよう


そんな都合の良いこと

あるわけないか

都合の悪いことばかり

起きるのにね


だからなんか

死んだ先に

天国を求める人の気持ち

ちょっとわかる


空を見上げる視線

その先には

何を映したらいい?


叶わないことばかり

もう

願いたくないよう


世の中には

成功した人たちの

『夢は叶う』

ばっかり


ねえ

本当に

僕はその人たちと同じ世界に

生きているんでしょうか?

って

本気で考えてしまう


そうだあいつら

『諦めなければ』って

予防線はってらあ


苦笑い

立ち上がって

立ち尽くして

うずくまる


そして浮かぶのは

良い記憶ではない

よね


救いって

手で水を掬うのに似て

多くのものをこぼすけど


一滴でも何か

残ればいいやって気持ち

どうか分かってほしい


そしてまた

人生を歩きます

死んで初めて解放される

記憶を無駄に重ねるために




2025/07/17

真っ赤ないも

収穫

真っ赤なうそ

ここには何も植えていません


でもここには何かが実っていた


水だけ与えた土に

勝手に何かが生えてきたのです

勝手に実をつけてしまったのです


終末

枯れ果てた何か

勝手に生えて

土に還って行く

『還って』ではない気がするけど


青い空を

眩しく見上げながら

そんな何かを想った


僕はいったい

どれくらいの時間を無駄にしたのか

無駄じゃないこともあるけれど

まだいい道を歩けたはずだ


もう一度

水を撒こう

僕はまた

水を撒く

2025/07/03

ほんとうのこと

ほんとうのこと
いつも信じられなくて
自分で想像した出来事に
記憶を書き換えてしまっている

山ほどの嘘で
固まった過去
虚しさだけ
積み重なって

残酷なことばかり
多く記録する物測り
消えて久しい明かり
居なくなった記録係

進むも
戻るも
険しい道
ほとんどのこと


2025/06/06

だれからも いらない子

雨が止んで

少し外で歩く


僕はきっと

だれからも いらない子

一緒にいる人

みんな苦しんで

逃げていく


裏切られても

加害者なんだって

僕が悪いから

仕方ない報いなんだって


そっか

じゃあ僕は

ひとりでいいや

僕に苦しめられるのは

僕だけにしなくっちゃ


水たまり

ただ眺めてたら

水が揺れて

僕の顔も揺れて

誰かわからなくなった


叫んでも

周りの人が

驚いてこっちを見るだけ


僕は僕がなんなのか

いまさら

分からなくなった


ねえなんで

ひとってひとなの?


悩みってなんのために

この世界に存在するの?


大きな声で

叫ぶけど

どこにも声は

届かないらしい


僕はだれからも いらない子

荒野に猫は

生き抜いて


雨がふってたんだ

太陽が嘘くさく輝いて

迷惑


雨がふって

僕の何かを

流してくれないかな


僕ごとどこかに

流してくれないか!









2025/05/28

へいこう

並行世界では
知らない自分が
知らないことをしているんだろう

それって自分?

何が違ったら
自分じゃなくなってしまうんだろう

粉を集めて麺にすると同じように
何が集まって自分になっているのだろう

分からないことだらけに
閉口してしまうけど

分からないことって実は
分かってはいけないことなのかも

何も思考が進まない

子供から大人になって
出来ることが多くなったって

出来なくなることが多くなっていること
気付かない振りしてる

どこにも僕らは進んでいない

並行世界の自分も
それに気付いてるといい
けれど


2025/05/27

空白が多いとき

座れる石

その上でぼーっと

後ろ向きなことを考える

電灯に影が伸ばされて


ああでも


自分のこと

分かってもらえないって嘆いてるけど


誰かのこと

分かってあげたことがあったっけ


世界がどうとか

嘆いてるけど


自分もその一部のくせに

神様かなんかのつもり?


ああ

自分にも叱られる始末

涙は風で飛んで飛沫


その分少し軽くなって


立てる意思

その上でそーっと

身体を持ち上げた

電灯に背中を照らされて