2025/02/25

背表紙がいつも曖昧な題名の図書館【remastered】

子供の頃の帰り道

肩をかすめるように
とんぼが通り過ぎていった

夕暮れの
田んぼみち
汗をかいて走り回った

そんな記憶が不意によみがえった
いつのことだろう
なぜ思い出したのだろう

まるで図書館で
何も考えずに取り出した本のように
急にあらわれた記憶

そうだ

たまにはゆっくりと
図書館で過ごすのもいいかもしれない
疲れたって言葉ばかり口にしていたもんな

無心に本を読んでいた頃を
思い出して

また
過去のことばかりって気付く

本当に
疲れているのかも

本を開いて
心の中で過ごそう

勉強のためじゃなく
気になった本を手当たり次第読む

何もタメにならなくたっていい
ただ心を本で洗う時間

背表紙に何が書いてあったかなんて
曖昧で覚えてなくたっていい

いつも
そうだった

ひとりでも
大丈夫だった

頭をかすめるように
記憶が通り過ぎていった

朝焼けが
のこるうち
汗をかいて目が覚めた




2025/02/22

天気の話

天気の話は天使の裸足
どこにだって運んでいける

今日はいい天気ですね

どうだっていい話題?

あなたと話したいってだけ
その気持ち
どうだっていいわけ
ないじゃない

天気の話とか
どうだっていい
あなたと話せるきっかけに
なればいい

天気の話の裏にある
こんな気持ちで

二人が晴れに
なりますように


2025/02/11

思えば 思わなければ(remastered)

そうなんだ  
って
他人事のように
相槌を打っても
その距離感に気づかず
話し続ける人

話すことだけが目的の人は
こんな風だ
相手がどう感じているか
知ろうとしない
このまま
機械的な相槌を打ち続けていても
気づかず話し続けるのだろう

ありきたりなジャズの流れる
ありきたりな喫茶店

2つ先の席から聞こえる会話に
もどかしさを感じて
勝手に心を苛立たせながら
充電ケーブルを指でくるくる
僕は時間を
浪費していた

思えば思うほど
長く永く感じる
心に流れる時間

思わなければ思わないほど
無為に無理に過ごす
心に空いた隙間

充電ケーブルを指でくるくる
回しても回らない
心のネジが
締まらない

窓から見える
どうでもいい風景
冷えたコーヒー

ああ
思えば

僕は多くのものを
失ってしまっているらしい

くるくる
くるくる

回しても
回しても

僕は自分をもっと知ろうとしても
分かる範囲でしか分からない

充電されない
心の渇きに

身動きできずにただ

僕は時間を
浪費し続けるのだろう