2024/11/08

さようなら (remastered)

あなたが

あさおきてすぐに
たべられるように
じゅんびしたあさごはんが
新聞をよみながら
むごんでたべられていく

いってらっしゃいは
いっぽうつうこう

あなたが

しごとからかえってきた
ずっとまってたのに
かえってきたらすぐにテレビ
あなたのためにつくったりょうりが
むごんでへっていく

おやすみをいうまえに
きこえてくるいびき

まいにち
まいにち

まいにち
くりかえし

わたしが
えみをくずさないっていう
みえをはっていた
ことも
きづかなかったでしょう

さようなら

わたしとはなしていたらって
りょうりおいしいねって
いつもありがとうって
いえばよかったって

いってきます
おやすみって
ことばをかわせていたらって
おもっても 

もう 
わたしはいないのよ

せかいにおこるものごとを

新聞やテレビで 
ずっと知り続けていなさい

毎日
音もなく
傷ついていく 
私の心の痛みも
知らなかったくせに

さようなら

無言で私は
この世から消えていきます
新聞かテレビで
私をどうか
見つけて下さいね

2024/11/04

右手に杞憂 左手に握り飯(remastered)

何かにつけ
無意味とか
くだらないとか言うあなたの
狭い心の視界に
侮蔑と同情を覚える

世界はこんなにも変化に富んで
何色もの感動に
満ち溢れているというのに

自分の殻に篭って
丸まったままぶつぶつと
文句を垂れる

貴方のこれからの人生に
杞憂のワインで乾杯を

どんな光も通さない
闇に限りなく近い赤ワイン
渋みからくる
恍惚感
どこかずれた生命の
リズム
伝わらない
言葉

誰とも調和しないままに
人生を終えるあなたに握り飯を

土混じりの生臭い具を
品質の悪い海苔で包んだ握り飯
失敗の味がして
思い上がった自分を
磷付たくなる
重い土台で
這い出さない
ように

ワインと
握り飯
狭い心の視野に囚われた
あなたにはお似合い

明かりも必要ない
小さな小屋で
晩餐なさい









2024/11/02

死にゆく蟻と笑い声( remastered)

公園で踏み潰された蟻が
死に向かってばたばたと動いている間

近くで遊んでいる子供たちの
笑い声がずっと聞こえているとしたら

なんてそれは残酷なことなんだろう 

やがて動きは小さくなり
蟻の命が消えても
子供たちの笑い声は途絶えない

…そんなことを考えながら

帰りの電車を待っている私は
足元を見た

2024/10/26

炎

冷蔵庫の中で

ずっとしまわれている

僕の炎

奥の奥の方

冷蔵庫を開けても

見えないところで


たぎっても

たぎっても

冷やされてしまう


せめてここから出してくれれば

何かを灰にだって

できちゃうのにって

炎はいつも

ぼやいている


鬱な気分も

何もかもに感じている無意味さも

なんだって

燃やしてしまえるのにって


賞味期限って

あったっけ

取り出しても手遅れだったなんて

絶望でしかないよね


漫画でよくある

逆転を狙ったとっておきの奥の手が

不発に終わった時のようだ


縁起でもないな


でもよくあること

本当によくあること


よく生きていけるなって

思えるくらいは味わってきているのに

仄かな希望と

決定的な絶望を

繰り返している


これはある意味強さかもしれない


実は

冷凍庫にも

僕の炎が

あるらしいよ


凍らされてもなお

燃える炎が


ふふん


2024/10/21

死を受け入れようと思えた あなたへのちょっとしたご挨拶( remastered)

 やっと死について

考えることができたのですね

楽しんで 悲しんで 苦労して 
自分を探したり
何も考えずにいても
人には必ず死が訪れるのです

いらっしゃい 
あなたを迎えましょう

それでは
あなたが死を受け入れるきっかけとなった
出来事を
聞かせてもらいましょうか

ふむふむ

一言では表せない
重く苦しい気持ちになったのですね

ずっと心の奥で
燻ったものが這い出てきてしまったのですね

よろしい
やっとあなたは一歩を踏み出せたのです

当分はその考えに苛まれ
少しの間忘れ
すぐに思い出す
その繰り返しを続けていくことでしょう

しかし
これであなたの生は
やっと前を向いたものになりました

一度きちんと受け入れること

先ず大事なことは 
そこなのです

今までの生活にの
何気ないひと時にも
意味が増していくことでしょう

どんな死に様を迎えるか
たまにでもいい
それを思い浮かべながら
あなたは生きるのです

これは
目に見えない
考えても答えが出ないことです

だからこそ
意味がある

あらためて 
あなたを迎えます

そして祈ります

あなたの死が
あなたにとって
意味のある死になりますように

穏やかに死ねるような
良き人生が送れますようにと








2024/10/12

The walk to paradise

 

The walk to paradise

楽園って言われても

何もピンとこない僕は

きっと幸せになれない心質らしい


そうだねきっと

何もかも満たされた世界って

むしろ地獄だって思えるもの


でもそんな僕の人生でも

死ぬまでに何か

持って帰れたらって思うことはある


その何かが

何かはまだわからないけれど


The walk to paradise


僕が死ぬまでに

何かを持っていけますように


生きた意味とまでは

いかないまでも


これだって言える

何かを


2024/10/03

バスに乗って

 履き掛けの靴で

飛び出すように外に出て

バス停へ向かった


笑い声

子供の

親の

聞こえてきた


忘れた頃に吹いてくる風にそっと押されて

家から近くのコンビニの前を

入るかどうか迷いながら通り過ぎ

たら急に

車が私の横を通り過ぎた


こんな狭い道を

ミニバンは

そんなに急いでどうするのだろう


世界

私の

私以外の

生きているトコロ


あなたたちが本物かどうか

知るよしもない

私だって


バス停近くのコンビニの前を

入るかどうか迷いながら通り過ぎ

た人と不意に

目が合いながらすれ違った


バス停へ着いたら

バスに乗って

椅子に座れなかった人たちを

観察するんだ