2017/11/05

振り向かない

立ち去る人を
ずっと見送る人

相手は
姿が見えなくなるまで
振り向かない

踵を返して
玄関をくぐる

ふと
見えなくなった人の方を
振り返りながら

長い間話した後
家路に帰る人が
一度も振り返らずに帰ってしまった

ほんの
ちょっとしたこと

でも
ちょっとではないこの心の空洞に

私は何かの
答えをみつけようとした

答え?
急に何故と
自分の感情におどろいて

テレビから離れて
無意識に
窓を眺めた

見えなくなった人の方を

ぼんやりとした答えが
浮かび上がってきそうな
気がした





青い虫

村の男に
青い虫が湧き出てきた

誰も信じられなくなって
色んなものが嫌になって
前向きに生きていくことを
諦めてしまう
虫が

座っていても
横になっても
外に繰り出してみても
除去できない


時間だけがそれを
解決する

やがてさなぎになって
蝶になって
どこかへ飛んでいってくれさえすれば

少なくとも男は
前に進める

桜が散って
またつぼみをつけるまで

男が本当に
この世からいなくなってしまうまでに
飛んでいってくれさえすれば

2017/11/04

いやなこと

世界を救うとか
大概なことはおもわないし
おもえるひとになりたいともわないけれど

子供がちょっとしたものを欲しがって
お金がなくて申し訳なさそうに断る姿は
見たくない

何度も何度もねだって
親を困らせる
かなしい風景をみるのは
とてもとても
いやなこと

貧しさを理解し
ものを欲しがらなくなる子供も見たくない

だれもがそうなってほしいと
本当に思う

思うだけでなにも
してあげられないけれど


2017/11/02

負けてベルトをなお締める

一日の終りに
勝ち負けの判定をしてみると

勝った日
負けた日

今日はちょっと勝ち負けとかどうでもいい日

同じと思っていた日々に
ちょっと違いを感じるでしょう

勝った日
勝って兜の緒を締めたいけれど
兜なんて五月人形しかかぶっていないから

ベルトをいつもより締めてみた

勝ってベルトをなお締める

お後がよろしいようで
おやすみなさい

って
あまりお後もよろしくないけれど

このままじゃ眠りにくいから

ベルトを外して

ベットで寝かせてくださいな

2017/10/22

然り

然り

なるようになる
物事

然り

不可逆な時間に
叶わぬ希望を持つ人共

然り
然り

記憶の中に
切り取られた青映える松の木

砂浜の
砂と靴が擦れ合う音も
表現出来ない私共

それも然り

2017/10/15

うさんくさい

うさんくさい男が
交番前をふらふらと通る

少し厳しい目線の警官

何をするわけではないが
うさんくさい男は

みんなの目線を集め

みんなの緊張を高め

どこかへいった


2017/10/04

食いつなぐ人

日々食いつなぐ人
買い物の度
財布の中と相談する

フードコートで食事する家族を尻目に
割引の惣菜を漁る

夕暮れ
買い物袋をかごに入れた自転車で
少し汗をかきながら帰る

おかわりの声に
もう無いのって返事をしながら
心のなかで
深い溜息

人生

楽しいこともあるけれど

耐えたり
忍ぶことばかり

ずっと買い替えていない
冷蔵庫を開けながら
思う