なんてなかった
そんな気持ちを持つことなんて
ないと思ってた
移り住んできたけれど
何も置いてきたものなんて
ないと思ってた
そんな私に
故郷が頭に戻ってきた
少し疲れちゃったのかな
少し戻ってみようかな
誰にも会わず
ぶらぶらと
夏
補助輪つけて降りて行った
あの坂
秋
ヒトリ歌いながら学校帰りに登った
国道近くの土手
死に目に会えなかった
母の
ああ
私にもあった
私は思ったより多くたくさんの
想い出を置いてきていたんだな
思い出したくないものもいっぱい
ついでに付いてきたけれどまあいいや
近いうちに帰ってみよう
ニヤニヤしたり
ぐしゃぐしゃになったりしながら
郷愁
ふふ
私にもあった